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日本全国「お茶」の旅

お茶は静岡・宇治以外にも・・・

 日本茶といえばまず思い出すのが「静岡」・「宇治」ですよね。これはどうしても仕方のないところなのですが、じつは日本にはそれ以外でも多くの茶処があるのです。下記のグラフは、都道府県別のお茶の生産量を示したものです。1位の静岡県は理解できますが、2位以下は鹿児島県・三重県とつづき、宇治茶のある京都府は5位にあるのです。

 

 コーヒーにキリマンジャロやハワイコナなど・紅茶にもアッサムやダージリンなど、産地ごとの銘柄でそれぞれ風味が違うように日本茶にも産地別の違いがあります。では、これらの産地のお茶にはどんな特長があるのでしょうか?

静岡県・

 静岡茶

広い県内にはさまざまなタイプの茶園があります。県西部の掛川を中心とした地域では、なだらかな丘陵状の台地にさんさんと太陽の光を浴びたさわやかな風味のお茶が採れます。また中部の山間の地域にある茶園は比較的寒暖差の激しい環境の中で味・香りともに深いお茶ができます。変わったところでは、伊豆地方に、一般的な日本茶を仕上げる蒸し製法をせず 炒って葉を巻きながら仕上げていく「ぐり茶」というお茶があります。ふつうの蒸し製法の煎茶に比べて香ばしい香りがするのが特長です。

☆代表的な産地・・・牧ノ原台地・川根地区・金谷地区など。

☆風味の特長・・・やや強めのキリッとした渋味

☆おすすめのお茶・・・100g¥1,000〜の煎茶

   
鹿児島県・

 かごしま茶

広大な土地を持つ昔の飛行場を茶園に改造し、乗用茶摘み機をいち早く採用するなど、先端技術の導入を積極的に行いめざましい発展を遂げてきた産地です。日本南端の産地のため、全国に先がけて新茶の摘みとりが始まるのも大きな特長です。大量生産型の茶園が多かったこともあって以前はブレンド用の材料としてのお茶として扱われる量も多かったようですが、現在はその味においても進歩を遂げさっぱりとした中にも風味豊かなお茶を生産しています。

☆代表的な産地・・・知覧町・曽於市など。

☆風味の特長・・・さっぱりとした味・香り

☆おすすめのお茶・・・100g¥1,000〜の煎茶

   
三重県・

 伊勢茶

北部と南部でその特長がちがいます。南部は従来よりも蒸し時間を長くしてまろやかさを引き出す深蒸し茶の本場で、北部は茶園に覆いをかけてより強い甘味を引き出すかぶせ茶の本場です。いずれにしても、伊勢茶のキーワードは”まろやかさ”です。

☆代表的な産地・・・水沢(四日市市)・大台町など。

☆風味の特長・・・まろやかさ・甘味

☆おすすめのお茶・・・100g¥1,000〜の深蒸し煎茶、100g¥1,500〜のかぶせ茶

   
京都府・

 宇治茶

言わずと知れた「宇治茶」の産地です。大きな特長としては高貴な香りがあげられます。また上品な甘味が特長の最高級茶種・玉露の産地としても知られています。

☆代表的な産地・・・宇治田原町・京田辺市・和束町など。

☆風味の特長・・・上品な香り

☆おすすめのお茶・・・100g¥2,000〜の玉露、40g¥1,500〜の抹茶

   
福岡県・

 八女茶

全国でも京都以外で唯一玉露を作っている産地です。県西部・八女地方の山間の茶園では深い味と香りの高級茶が産出されます。

☆代表的な産地・・・星野村・黒木町など。

☆風味の特長・・・深い香り

☆おすすめのお茶・・・100g¥1,000〜の煎茶、100g¥2,000〜の玉露

   
高知県・

 土佐茶

石灰質地質の四国カルストの茶園で、山間の気候環境の中 育ったお茶は独特の強い風味を持ちます。高級茶の風味を高めるための原料として、一部は静岡などのブレンダーにも引き合いがあります。

☆代表的な産地・・・東津野村・仁淀村など。

☆風味の特長・・・強く独特の味・香り

☆おすすめのお茶・・・100g¥1,000〜の煎茶

   
埼玉県・

 狭山茶

狭山丘陵で栽培された狭山茶は、大消費地・東京にもっとも近い茶産地です。コクのある強い甘味に、”狭山火香(さやまかか)”といわれる強い香りが特長です。

☆代表的な産地・・・狭山市・入間市

☆風味の特長・・・強く香ばしさの漂う香り

☆おすすめのお茶・・・100g¥1,200〜の煎茶

   

以上のように、日本各地にはさまざまな特長のお茶があるのです。日本茶専門店やインターネットなどで各地のお茶を取り寄せ、みなさんの舌で飲み比べ などをしてもおもしろいかもしれませんね。

 

「ところ変われば」・・・ 各地伝承のこんなお茶

  「ところ変われば味変わる」とはよくいわれる事ですが、日本各地には変わった特長を持つお茶がいろいろあります。

さんぴん茶(沖縄県)
   一瞬「どんなお茶?」と思いますが、じつはジャスミン茶のことなのです。中国との交易が盛んだった沖縄では古くより一般的なお茶はこのさんぴん茶だったのです。脂っこい料理が多い沖縄の料理にもうまくマッチしたお茶として根付 いていったようですね。

 

釜炒り茶(佐賀県)
   温泉で有名な嬉野を中心とした佐賀県産のお茶は、釜炒り製法が有名です。これは、一般的なお茶が蒸して仕上げられるのに対し釜炒り製法の場合は釜状のものに乗せられて火を通して仕上げ るのです。この釜炒り製法のルーツは、この地方に陶器の職人として移り住んで来た中国・朝鮮系の渡来人の人たちが伝えたものだという事です。 ですから形状はどことなく烏龍茶にも似て 葉がぐるっと曲がってねじれています。釜で炒る分、ふつうのお茶よりも独特の香ばしさが感じられます。

 

出雲白折(島根県)
   昔から和菓子の文化が盛んだったこの地方はそれにともない抹茶の消費量も多い事で知られていました。従来は抹茶だけで飲まれていましたが、和菓子を通して抹茶を飲む機会が多かったこの地方の人たちは煎茶の茎に抹茶をブレンドして飲むことを思いついたのです。これが意外な旨さであることに気づき、やがてこの地方の名物に 成長、さらに全国へと広がっていきました。みなさんの地元で販売されている「抹茶入りかりがね」や「抹茶入り茎茶」などがありましたら、そのルーツはこの出雲白折にあるということです。風味は、あっさりとしながらも独特の香りを持つ茎にまったりとした抹茶の味わいがブレンドされて、不思議なまろやかさと甘味が感じられます。

 

きし豆入り番茶(高知県)
   高知県の山奥の茶園で採れた番茶に乾燥したきし豆をブレンドしたものです。あっさりとした軽やかな番茶の味わいのなかにふわりと香る香ばしいきし豆の香りが人をひきつけます。きし豆は利尿効果にもすぐれているとの事で、この地方では日常のお茶として親しまれています。同じようなものには、福井県の豆入り番茶(これは炒り大豆をブレンド)があります。

 

大和の茶がゆ(奈良県)
   これは直接飲むお茶ではなく、ほうじ茶を使い炊きあげたおかゆです。おかゆを炊くときに、ほうじ茶のティーパックを一緒にいれて炊きあげます。ほうじ茶のやさしい香ばしさが米にも浸透し茶色みをおびた円味を持った味わいのおかゆが仕上がります。お椀にすくってから塩をかけて食べます。 微妙な香ばしさとかすかな渋味のがお口に広がるなか、ピリッとした塩の味が全体の風味を整えます。水気を多い目に入れさらさらに作るのがおいしく仕上げるコツです。

 

西尾の抹茶(愛知県)
   県東南部の西尾地区は京都をしのぐ全国一の抹茶の生産地です。京都府の抹茶が高級品として「高価なものを少量で」という嗜好品的なイメージが強いのに対し、西尾の抹茶は最先端技術の管理のもとで生産された良質でしっかりとした品質の高級原料としての側面も持ち合わせています。

 

加賀棒茶(石川県)
   石川県を中心とした北陸地方ではお茶の茎を焙じて飲んでいます。食事後のお茶は番茶を焙じたものを使い、ちょっとしたおもてなしには高級茶の茎をさらりと焙じたものを煎れます。この高級茶の茎を使用したお茶は、茎自身がもつ独特の味・香りをほのかに 炒ったかすかな香ばしさが包み込む上品な味わいをかもし出します。

 

村上茶(新潟県)
   ここが日本茶最北端の生産地です。新潟県内でも北端であり、山形県の県境に近いところにあります。もともと寒冷地での栽培に適さないお茶がこの地で栽培されたのは1620年の徳川時代でした。以来、寒冷地向けの品種改良にも取り組み現在に至ります。日照時間が少ないことから自然に甘味の強いお茶となり、これがコアなファンを引きつけています。残念ながら生産量が少ないため、消費はもっぱら県内で終わってしまうとのことです。
   

以上、日本各地の変わったお茶をご紹介してまいりました。この他にも、まだまだ全国には隠れた珍しいお茶はたくさんあると思います。お茶一つをこれだけいろいろアレンジして楽しめるこの国民は、やはり世界に冠たる「お茶好き国民」であるといえるでしょう。

 

 

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最終更新日 : 2007/11/14